結局何を描きたかったのか、ゴールデンデッドシーレの感想

珍しくバウのチケットが当たったので彩海せらさん主演のゴールデンデッドシーレを観劇してきました。
年々格好良くなっていく彩海さんにときめきが止まりませんね〜!٩( ‘ω’ )و

かなり良席で観劇したので舞台に集中出来、
ずっと物語について考えることが出来たのですが、
よくも悪くもこれが宝塚歌劇で上演される意味って何だろうと考えました。
ウエクミ先生のサパを観た時に近い気持ちって言うんでしょうか…。
熊倉先生は大劇場デビュー前だから、ウエクミ先生の色々経て
明らかに意図してやってらっしゃったのとはまた違うと思うんですけどね!

エゴンシーレ(彩海せらさん)の芯と生き方がなんとも難しい

全ての基準はただ絵が描きたいなんだなというのはすごくわかりました。
ただ、それだけのために全てを捨てるほどの覚悟はない人という印象…で共感しにくい。
いつもそばに居る死の幻影(彩音星凪さん)に怯えるでもなく、
本人のセリフどおりなんとなく取り憑かれてる気がするくらいの存在で
リアリティはあるんですが舞台映え的にはどうなのだろうか…と思いました。


というのも元々貧乏だった人が成り上がるパターンではなく、家柄が由緒正しい人が画家になる話なので
話の途中で普通に家柄に結局頼っちゃうところなどもあり…
良い意味では人間らしいのですが、共感する箇所が減るので感動は特に無いんですよね。

一例として挙げるならば、ヴァリ(白河りりさん)と結婚しなかったところも
あっさりエディト(花妃舞音さん)と結婚するところも、心情が描かれるのではなくセリフでの描写だったので
ああそうなんだ…?そこは家柄頼っちゃうんだ…みたいなガッカリ感がちょっとあった。
そして絵を描いたことで何かを成し遂げたというよりは悟ったみたいな感じなのも宝塚的にはあまり見ない終わり方でしたね。

難しいんだろうな、史実と舞台での作劇のバランスが。と思いながら観てました。
レスラーさん(英かおとさん)がやっぱ君について書くの無理!となって原稿を捨てるところは
「ええマジで!?嘘ぉ!?」となってちょっと笑いました。
いや諦めるんかい!!!!となってしまい…。
そんなこと一人でアッサリ決めていいのか!?この時間何だったの!?とかね、そんなことを思うべき場面では無いとわかっていても、脳裡を駆け巡りましたね。
舞台の登場人物たちの感情描写が基本的に宝塚的なオーバーな演出ではなく、リアリティ強めだったからそう感じたのかもしれません。

苦悩する彩海さんの色気がすごく素敵

眉間に皺を寄せて苦悩するシーンが多いエゴン。これがなんとも素敵で。
元々細いですがさらに痩せられたのかお顔がすごいシュッとしていて
その陰影が舞台のライトと相性ばっちりでアンニュイな表情が大変魅力的でした。

倫理観とか常識とか真っ当にあるんですよね。新芸術家集団の展覧会のお金に困ってクリムト(夢奈瑠音さん)にお願いしにいくシーンの何とも言えない気まずそうな態度とか
レオポルド(佳城葵さん)に反発するシーンでの挑戦的な視線とか最高でした。あれは叔父さん怒りますよ!というお顔で最高です。

夢奈瑠音さんのクリムト

夢奈瑠音さんのクリムトすごく素敵でしたね。
創作意欲もいつかは枯れるという話をする場面が好きです。
静かに自分の運命を受け入れてる感じが穏やかで、確かにこの穏やかな人からもう燃えるような情熱というのは沸かないのだろうなという説得力がありました。
夢奈さんの表情や声色、立ち姿も相まって凪いだ海みたいな人という印象を受けます。
エゴンなり、ヴァリなり、周囲に与える影響力は絶大なのがまたね…。

クリムトの与える影響の大きさ

さまざまなことが起きるエゴンシーレの人生の物語の中での静な存在感がすごく素敵でしたね。
ヴァリに対して優しく温かい居場所でありながらも彼女の自死を止めるには至らず。
そのときクリムトとヴァリの距離感がどんな感じだったのかはわかりませんが、
大きな流れには逆らえないと悟っている感じがしますし、
エゴンシーレが勾留されている間何もしなかったところにも繋がってる感じがしました。

優しい人だけど何が何でもという情熱は無い感じリアルだ〜。
人によってはズルい人という印象を受けるかもしれません。
ある意味一番美味しいポジションではあるから…。

エゴンが一番心細い時もそばにいてくれたヴァリ(白河りりさん)

本当にただただずっと良い人でしたよね…結婚して欲しいと言ってもエゴンにはその理由が理解できないこと、それをちゃんとわかっている、ものわかりが良すぎた人という感じです。
クリムトに感じた恩とかエゴンを諦めきれない気持ちとか、いろんなところで板挟みになってしまってあの結末に至ったと思うと胸が痛すぎます。
自分に自信を持つには周囲の人たちとの身分の差が大きすぎたんだなあ_:(´ཀ`」 ∠):

エゴンがもっとリーダーシップを発揮するタイプなら…!!
絵を描きたいが何より優先の人だというのもヴァリはわかってるもんな〜〜くう〜〜幸せになってほしかった〜〜!!

白河さんの嫌味のないまっすぐな女の子のお芝居がまた…ヴァリの生き様とマッチしていて素敵でした。

一言では言い表せない気持ちになった、ゴールデンデッドシーレ

面白かった〜!!とかではなく、見終わった後、
う〜んそうかあ…とすぐ登場人物について考えたくなる感じ。
この舞台そのものではなく、この舞台を通して観たものやことを考えることで面白いなって思うような舞台っていうんですかね。うまく言葉にするのは難しいのですが、私はそう感じました。

そして当たり前に今回も一人で観劇したので感想を語り合えずもんもんとしたまま帰路につきました( ;∀;)
人と一緒にご覧になって感想を語り合うのが楽しそうな演目です。個人的にはそれを超おすすめします!!
記事内で触れきれませんでしたが、死の幻影の彩音さんがすっごく素敵でした。
本当に素敵だっただけにもっと驚異的な存在として描かれてもよかったのかな〜…とか、素人の戯言ですけれども。
あとフィナーレ格好良すぎて最高みたいな話でも盛り上がりたかった…ヅカ友、つくりた〜い!!

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