キャプテンネモとか、リッツホテルみたいに大きなダイヤモンドとか。
そういう狂気を感じる演目(※私比)が好きな人は「ほんものの魔法使」好きだと思います!
私はキャプレンネモの謎のTRICK感、島から出たらヤバイみたいな突然の殺伐した不穏感も好きだし、
リッツホテルのお友達のイカれまくった狂気も好きなので好きでした。
手品や催眠術を見るときのように、
その瞬間を能動的に楽しもうとする感性が無いと厳しいと思います。
※その見方が良い悪いとかじゃなくて、向き不向きの話ですよ!!
「ほんものの魔法使」に関しては、前述の2作品よりもしっかりファンタジーしつつ、
人も死なないし、ダークすぎない内容なのでお子さんでも楽しく観られそうです。
ちょっとヒロインがバイオレンスな目に遭いすぎな部分あるけど。
「ほんものの魔法使」あらすじ
アメリカの作家ポール・ギャリコさんが1966年に発表したファンタジー小説を宝塚歌劇がミュージカル化。
私は原作を読めてないのですが、結構違うところもあるようですね?
舞台は魔術を使うものたちが住む「マジェイア」
マジェイアではうまく騙す、騙されるが美徳。というのもマジェイアの魔術師とは手品師のこと。
手品師にとってタネや仕掛けは命、門番を立てて手品師しか入れないようにしています。
そこへ、谷の向こうから魔法使のアダムが愛犬のモプシー(縣千さん)と一緒にやってきて、
魔術を使い、門番の試験を見事パスします。
アダムは街で出会った市長(久城あすさん)の娘、ジェイン(野々花ひまりさん)を助手に手品師試験の予選会に出場。
だれも見た事がなくシンプルなたまごの魔術で試験をパスします。
誰も見たことがないのは当然で、それは「ただの」魔法だから。
まさか本当の魔法なのではと、魔法なんてものがこの世にあれば
仕事を失ってしまうとマジェイア中が大騒ぎに。
果たして、魔法とは何か?ただのアダムが
マジェイアの人たちに残していったものは何だったのか?
ほんものの魔法使の好きなところ
アダム(朝美絢さん)の魔術やお衣装がシンプルめなところ
マジェイアの人たちは皆さんド派手な格好してるのに、
ほんものの魔法使であるアダムは格好もラフだし、魔法もささやかなんですよね。
魔法のささやかさは後半その理由や根底が明らかになるんですが、
お衣装は本当堕天使Jかな?(※Brilliant Dreams +NEXT朝美さん編より)
と思わせるようなシンプルめなシャツとか、シルバーのシンプルめなアクセサリーとか。
ただのアダムには装飾が要らない、タネや仕掛けをしこむような必要がないから服もシンプルでいい。
そこがマジェイアの人たちに対してはちょっと皮肉なのが切ない。という事情が垣間見えて好きでした。
後半のピクニックのシーンでは笑顔でもめちゃくちゃ怒っているアダムさん。
こういうタイプの人が笑顔でキレる時が一番ヤバイって私知ってる!!!!ってなりましたね(何が?)
マジェイアの人たちに「君の二つ名は?」と聞かれて「ただの」アダムと答えるアダム。
その理由が二幕では明らかになります。
アダムにとっては魔法は身の回りにあって、これが魔法であれが魔法じゃないという区別が無いんでしょうね。
すべての出来事に心で触れて感じ取るからきっと魔法が使えるんだろうな・・・。
そういったところまできちんと伝わる朝美さんの表情や仕草、最高でした。
いや〜〜〜〜ほんっっとうに格好良い。時が経つほど洗練されていってこれからも楽しみですよね。
輝月さんや紫門さんともまた共演されるのかなあ・・・観たいなあ・・・!!!
想像以上にめっちゃ犬のモプシー(縣千さん)
犬といえばTHE SECOND LIFE(2007)で犬の中に入っていた七海ひろきさんとか、
UNDER STUDY(2006)で犬の中に入っていた凪七さんを思い出すんですけど
あの犬はもっとマジな犬の着ぐるみでしたよね。ていうか昔の宙組デカい犬に人入れるの好きだな。
そうそう言いたいのはそれじゃなくてですね。
今回の犬のモプシー(縣千さん)はちゃんと人間の格好なんですよね。ちょっとモフモフした格好の人。
でも普段はしゃがんで四つ足ぽい動きだし、めちゃくちゃ喋るし、
でも人間なんだけども観てたら犬のモプシーってキャラクターにしっかり見えてくる。
上手いですよね〜〜!!しかも犬の鳴き真似もめちゃくちゃお上手で。
愛され上手なキャラクターであるモプシーと、縣千さんとしてキャラクターを確立されてる縣さんが
うまくマッチした感じでかなり良かったです。物語の中への馴染み方が尋常じゃなかった。
やたらバイオレンスな家庭で育つジェイン(野々花ひまりさん)
アダムとジェインの出会いのシーンで二人を隔てるのはジェインを閉じ込める檻。
えっ檻!?!?!?!?
どうやら何かあると檻に閉じ込めたり、食事を抜かれたり、つねられたりしている模様。
いや偉大なロバート(久城あすさん)あまりにもバイオレンスすぎません?心配になるんだが・・・。
なんだか想像よりも結構精神が幼めな16歳なのもいろいろ心配になるんだが・・・。
でもお衣装めっちゃ可愛い。ポスターの時点ではどうなるのかな?と
思ってたんですけどまじでお衣装可愛い!!!
というか心があれだけ真っ直ぐなジェインだから箱を開けられたんでしょうね。
できるんだ、やるんだ。の一言が爆発的推進力になる。こっちも勇気や元気をもらえます。
16歳時点が結構幼い印象だった分、ラスト大人になった後はめちゃくちゃ大人びて見えますね。
ああ、あのジェインがこんなに大人になって・・・って近所のおばちゃん的気分になりました。
まあタカラジェンヌのこと全員
近所のおばちゃん気分で「あらあら○○ちゃん素敵ねえ^^」ってみがちなんですけど。
多分あるあるですよね。
もっと活躍が観たかった〜ワン・メイ(彩みちるさん)
彩みちるさんが雪組の娘役さんで本当に好きで、毎回すごい楽しみにしてるんですが、
今回のワン・メイめちゃめちゃお衣装が可愛かった・・・。
ワン・フー(天月翼さん)とセットで可愛かった・・。
ジェインの親友ということで、実際野々花さんと同期ですし、
最近のタカラヅカニュースでもすみれキャンプで同期トークをされていて、
なんとなくお互いの関係性がわかる感じだったので、
気丈なワン・メイとちょっぴり自分に自信が無いジェインという今回の親友設定が見られてよかったな〜〜。
あんまり出番という出番は無いんですが、二人が親友なのちゃんと伝わるお芝居でした。さすがです。
度胸抜群のニニアン(華世京さん)
106期!?!!??!?ということで配役時点でビックリしてたのですが、さすが首席。
堂々たる姿でしたね。びっくりです。しかもニニアンはかなり主要な人物ですし、
その上舞台で手品も確実に成功させなきゃいけないしで、本当にすごい。
緊張も糧にするような、まだ舞台を心からただ楽しめるようなそのフレッシュさとエネルギーが抜群でした。
私はだいきほコンビがめちゃくちゃ好きだったのですが、これからの雪組の未来も明るすぎる・・・。
「ほんものの魔法使」全体的なストーリーの感想
子供向けと一言で言えばそうなんだろうと思うんですが、
ストーリー全体を見ると必ずしもそうとは思えないんですよね。
ただのアダム(朝美絢さん)は最終的に自分の存在がマジェイアの人の生活を脅かしてしまう、
恐怖そのものだと言うことに気がついて大量の金貨を降らせていつのまにか街を去ります。
お金を受け取ったマジェイアの人たちの生活は豊かになり、その後働く必要すらなくなります。
一般社会で生きる私にとって、それはなんだか恐ろしいように思えるのですが、
お金があって働く必要がないということは、魔術のタネも仕掛けも考えず、恐怖に脅かされることもありません。
アダムからすればこの行動って自然だったのかなと思います。
そのあたりが浮世離れした感じがして、なんとも言えず異質でちょっと恐ろしい。
いや、これを恐ろしく感じるのも、
私がその「何も考えなくても楽しく暮らせる」という状態をきっと知らないから。
そう思うとなんとも〜〜なんとも言えない舞台だなと思います。
だって働かなくていいなら働きたくないし、
お金があふれるほどあればそれだけで嬉しいハズなのには間違いないからなあ。
なのにどうしてマジェイアの人たちが怠惰になるのを怖く感じるんだろうか。
う〜〜んいい話なのか、いい話として受け取れないのは人として不自然なのか、動物だったらどうだろうか。
とか見た後意外と色々考えさせられます。
きっとこの時のアダムの行動の答えはいつか再会するジェインが確認してくれることでしょう。。。
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