礼真琴さんの退団公演であり、宝塚初の劇団☆新感線演目の上演
ということで話題性抜群の「阿修羅城の瞳」を観劇してきました。
小柳先生自体が劇団☆新感線のこと大好きなんだろうなというのが
伝わってくるリスペクトぶりを感じ、宝塚ファンとしては
斬新な勢いとセリフまわしを大いに楽しませていただき、
それでも物語の佳境ではやはり真に迫るものがあり…とても素晴らしい演目でした!
ベルばらの二倍の速度で皆さん話してましたね!
ケレン味たっぷり、洒脱で漢な礼真琴さん演じる病葉出門
もうかっこいいのなんのって、時折見せていただけるふくらはぎがムキムキで非常に助かります。
あんなにシュッとしていらっしゃるのに一体どこからそのエネルギーが!?というのはどのジェンヌさんにも言えることですが「礼さんのダンスを支えているのはこの脚なんだ…」という説得力すごかったです。
素足に草履のスタイルの時も「礼さんのダンスを支えているのは…」って同じこと思いました。
5年前にある鬼を斬ったことをきっかけに過去を全て捨て去った出門は女盗賊のつばきと出会います。
またこの二人のやりとりがなんとも可愛いんですよね。ちゃきちゃきしてるけどお互い大好きな感じ。
何より物語中にお互い守り守られ、という展開があるためベタベタしていないのに
愛がそこにあるのがちゃんと伝わってきて、愛が物語を阻害せず、むしろ必要不可欠な要素として存在しているのが素晴らしかったです。
宝塚らしいかと問われたらわかりませんが、でも個人的にはBADDYのデュエットダンスを思い出す感動がありました。
つばきを愛する自分、鬼殺しの出門としての自分、この二つの間に存在するのが葛藤じゃなくただただ決断だけなのが本当に美しかった。美しい男です病葉出門は。
壮絶でいて美しい闇のつばきの暁千星さん
男役さんだから出せる色気みたいなものがすごかったですね。勝ち気で実際すらりとしていて、なのにちょっと脆く見えて守りたくなるような…絶妙な塩梅で。
普通にネタバレになりますが、闇のつばきこと阿修羅は三面六臂。
最初の面は子供、これは殺意によって女に転生し、女の面は恋によって鬼の王である阿修羅に転生するという悲しすぎる存在なんですよね。
阿修羅になったつばきが街を火の海にしたくなることにこんなに説得力があるのかって感動しました。
呪いまするぞ、出門殿。
それは礼さんの出門との愛の大きさがお芝居の中でめちゃくちゃ伝わっていたからということで…。
この背負っている運命を思うと銀橋で歌う阿修羅の孤独が凄まじくて、聴いていて泣いてしまいました。あの力強い歌声がつばきの虚勢であり阿修羅の世と運命を呪う憎悪の火種なんだろうと思うと…。
鬼にとっての救いは滅びなのだというセリフが劇中にありますが、そんな悲しいことがありますかとなり。鬼という存在の悲しさと、それを救えるのが病葉出門だけなのだという胸熱で情緒がはちゃめちゃになりながら観てました。
この悲しすぎる鬼の設定考えた人が一番鬼なんじゃないの!?!?何食べてたらこんなこと思いつくの!?
止めを刺せない出門に向かって咆哮するつばき最高でしたね、永劫の孤独を抱えた阿修羅が出門の持って来たかんざしによってまたつばきに戻るあの瞬間も泣けて仕方なかった〜…。
またそのかんざしをですよ、出門の手元に寄越した男がさあ…ねえ_:(´ཀ`」 ∠):
ただ俺を見て、認めて、一緒にいたかった。極美慎さんの阿部邪空
急に銀橋で俺は9歳のときに同門になってそこから心を奪われちまったんだAH〜〜俺をみろ〜〜〜〜となるのでどうした!?!?!と思いましたが、
「どうして俺に何も言ってくれなかったんだ」というような心情吐露に彼もまた永劫の孤独の中にいる人だよなと思いました。
邪空のことは晴明を斃せるのは自分か邪空だと言うくらい出門も認めているし
決して存在を見ていないわけじゃないんですが、
出門の未来に自分が居ないことが寂しくて仕方ないんだろうと思います。
それを打ち明ける相手も居なければ自分の心を一番わかってもらいたい人間には素直になれず、
徐々に歪んで行ってしまったのだろうと思うと…。
なんというかこの辺は人の抱える漠然とした
「誰かにとっての一番になりたい」のこじれのように思いました。
出門にとって邪空は何においてもどこか一番になれなかったんだろうなと。
鬼と化した邪空が出門に対峙したときの「俺は寂しがり屋でな」のところは
本当のことのように思います。自分を殺すのは出門で、出門を殺すのは自分というのが鬼と化した彼の最後の望みだったのかと思うと切ないですが、死の直前に
「生まれ変わったら、またいっしょに」と言うところでああ、悲しいけど最後の最後に救われたんだ…と感じました。
本当に切ないですね、言語化するのがすごく難しい感情を抱えた人です。つばきのところでも書きましたが彼が策略のために利用したつばきのかんざしが、阿修羅と出門にとっての重要なアイテムになるところが辛くて美しい。
メインキャスト三名について書いたところでそこそこ長くなってしまったので続きはまた。
この作品にはたくさんの人の愛が描かれていますが、やはりこの3人を中心にした激しい愛の話だったように思いました。
あと娘役さんが強大な敵としてずっと君臨してたの最強でよかったのでその辺の話をまた書きたいです!!千秋楽まで無事に幕が開きますように!!
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