耐え忍び咲く大輪の花「アウグストゥス」感想

私はムラ組なのでアウグストゥスを観たのは少し前なのですが・・・。
最後に見た日が4/25の緊急事態宣言で休演を余儀なくされる直前だったので、
あの日のことも公演の感想も、文字にしてきちんと覚えておいて、
数年後また懐かしめるようにと書くことにしました。
4/25のカテコの話はショーの記事で書くとして→ショー感想はこちら
今回の記事ではお芝居について書いていきたいと思います。

アウグストゥスのあらすじ・・・以前のわかりやすい前提

私はまっっったくローマに詳しくないまま観に行ってしまったので、一回目観た時は
登場人物の名前と、演じられているジェンヌさんと、立場と・・・で頭を整理しているうちに
話はどんどん進み、しっかりとそれぞれの役の心情理解に及びませんでした・・・。

アウグストゥスって出てこないんだ〜〜!?!?!
オクタヴィウスなんだ〜〜!!とか思ってたら話どんどん進んでました。

ということで二回目を観る前にちょろっと勉強しましたので、
簡単なあらすじとして(簡単なあらすじって頭痛が痛いみたいだけども)記載します!
というかあらすじに至るまでの前提知識がわりと要ると思います!
内容が分かる方は飛ばした方が◎です。だいぶざっくり書いてます。

まず柚香さんが演じる主人公、
オクタヴィウス(のちのアウグストゥス)が何をした人か?
ということですが、
初代ローマ皇帝に就任した人です。亡きカエサル(夏美ようさん)の意志を継ぎ、
元老院をいい具合にヨイショしながら、
しっかりと体制を築き政治に優れた人という感じですね。

初代皇帝のアウグストゥスが布いた体制のおかげで、
ローマはこのあと約200年間平和な時代を迎えます。
めちゃくちゃすごい。
カエサルはえらいし、アウグストゥスはすごい。(feat.暁のローマ)

なんでそんな偉いカエサルが殺されるほど恨みを買ってるのか?という
しっかりした説明は劇中にはありません。
かつてのローマではなんやかんやあって内戦が続いており、
カエサルポンペイウスクラッススという三人が三頭政治という体制で治めていました。
が、クラッススが先に死に、カエサルとポンペイウスの対立構造になっていきます。

結果的にポンペイウスはカエサルによって敗走し、逃亡先のエジプトで死にます。
後からエジプトに到着したカエサルは、
エジプトでバチバチに争ってたクレオパトラとその弟の戦いを仲裁しようとしたものの、
なんやかんやでクレオパトラ側につき、クレオパトラ(凪七瑠海さん)を愛人とし、ローマに帰ります。

で、カエサルはえらいのでローマを制圧し、自ら「終身独裁官」となって
共和制とかナマ言ってねえで権力を一点集中して俺が最高のローマにしてやるよと思うわけですよ。
それにめっちゃキレて
「あいつ一人が権力を握るのはヤベ〜〜ぞ!!」と思ってるのが
ブルートゥス(永久輝せあさん)率いる共和制一派と
エジプトで死んだポンペイウスの娘のポンペイア(華優希さん)
ということですね。
ポンペイアは政治とか以前に「父親の仇!!許さん!!」という気持ちです。

これだけの前提がわかってた方が楽しめること間違いなしです。

で、今回の舞台はカエサルがブルートゥスに殺されたあと、
オクタヴィウスが後継として指定され、皇帝にこれからなりますよ〜。
となる過程のお話です。

で、何であいつが後継者なんだチクショー!!!となってるのが
アントニウス(瀬戸かずやさん)です。
俺の方がめっちゃ強いだろうがチクショーーー!!!となっているので
後でオクタヴィウス(柚香さん)と対立します。

オクタヴィウスの姉のオクタヴィア(音くり寿さん)がアントニウスに嫁いでるので
義兄vs義弟対決ですね。しかもアントニウスは途中からクレオパトラにぞっこんなので、
オクタヴィウスの胃が痛み散らかる表情も観られます。オクタヴィアが健気で切なすぎる。

基本的に今回の演目は派手な出来事より、内面の葛藤に焦点を当てています。
つまり心情の繊細なお芝居がうまい柚香さんの苦悩の表情がいっぱい観られます。
オクタヴィウスはカエサルの姪の子供にあたりますので
劇中ではカエサルのことを「大叔父様!」と呼んでいます。(これがもうすごい可愛い)

史実上のご本人はめちゃくちゃ胃腸が弱かったらしく、
大切な盟友であるアグリッパ(水美舞斗さん)が軍事方面を支え、
外交や政治面の補佐役として支えたのがマエケナス(聖野あすかさん)だと、そういうことです。

アウグストゥスの印象的な場面

クレオパトラ(凪七瑠海さん) on STAGE

最初観たとき何が始まったのかと思いました。
クレオパトラに勤める女官の冴月さんめちゃくちゃ綺麗だな〜〜とか思ってたら

急にクレオパトラだけショーみたいなの始めるから・・・。
ミラーボールも降りてきますし、完全にクレオパトラ on STAGE。
またNICE WORK IF YOU CAN GET ITの永久輝さんの風呂ダンスとは
全然ノリが違う挑戦的なナンバーで着替えをこなすクレオパトラ。
風が吹いたら飛んでいきそうなほど華奢ですごいし凪七さんのお顔が小さいので200頭身くらいある

最終的にヅラが飛んだとき普通に事故なのかと思って衝撃を受けたんですけど、事故じゃなかった。
逆に演出だと思ってたら事故だった、逆転裁判3の天玲さんのヅラ吹き飛びと対照的。

後で被るめちゃくちゃデカい帽子なんなんですか?どういう機能性?鈍器?とか思いながら、
まあきっとその時代のオシャレ的なやつなんだろうな・・・と思ってました。
殿方と夜を過ごす的な感じでその帽子を被ってきたら現代だと「殺意あるのかな?」と思われそうですが。

神々怖すぎる(褒めてます)

最初に観た時神々とは思わずにあの黒い人たち「何のコロスなんだろう〜?」と思って観ていたんですが、
パンフレットみたら「神々」って書いてあって怖すぎてビビりました。

不穏な場面になると現れてめちゃくちゃ怖い踊りをする神々。
カエサル(夏美ようさん)の暗殺時にも、その後のブルートゥス(永久輝せあさん)にも、
ポンペイア(華優希さん)にも取り憑きまくりでめちゃくちゃ怖い。
特に更紗那知さんの神が怖くて良かったですね。娘役さんがする狂気的な表情好きなので嬉しかったです。

ローマはキリスト教が国教となるほど広まる前はいろんな神信じてましたもんね。
考えてみれば国土がめちゃくちゃ広く、様々な民族が暮らす国なのでいろんな神がいてもおかしくないかも。
ベルばらのオスカルや、ロミジュリのティボルトが言う軍神マルスとか。
ローマ教皇が絶大な力を持つ今となっては想像がつきませんが。

アウグストゥスが皇帝になってから内乱で荒廃していた神殿を建て直したそうなので、
劇中は神殿もめちゃくちゃで神々もブチ切れてるってことなんでしょうかね?

オクタヴィウス(柚香光さん)とポンペイア(華優希さん)のお衣装最高

ポンペイアの最初の青いお衣装めちゃくちゃお似合いでしたね。ブルーで上品で、気取りすぎず。
気丈な雰囲気とちょっと不安定さを抱えた雰囲気を内包したような。素敵だった。
あと後半オクタヴィウスの青緑の布がいっぱいあるお衣装!!あれも素敵でしたね〜〜。
爽やかで精悍な顔立ちの柚香さんにめちゃくちゃ似合うお衣装でした。
瀬戸さんのアントニウスの衣装も格好良かったですね。
見るからちょっとワル感がありつつ、ワイルドで、プライドが高い雰囲気が良かった。
永久輝さんの衣装はスターウォーズ感ありましたね。ジェダイかな?って。お似合いで格好良かった〜。
まあ最終的にジェダイというよりシスでしたが。アウグストゥス本当に衣装がめっちゃ良いですよね。
次回公演時に歌劇の殿堂に行くのが楽しみです。

葛藤するブルートゥス(永久輝せあさん)

共和制派のブルートゥス(永久輝せあさん)の葛藤の演技よかったですね。
じゃあどうしたらいいんだよ!!みたいな。またそそのかす高翔組長がいいんですよね。
神々の狂気に取り憑かれた雰囲気からの演技が素晴らしかった。
またお声がすごく良いんですよね、絞り出すように
かすれ気味に出してみたりと声色までしっかり作られているのがわかります。

カエサルに怒りをぶつけるシーンの迫力もすごく良かった・・・。
PR × Princeでの人が良い王子と人たらしな王子の演じ分けも圧巻でしたが、
まだまだ引き出しがたくさんある男役さんなんだな〜と感じます。
雪から組替えがあり、きっといろんな思いがあったのだろうと思いますが、
前に進む強い意志みたいなものを結構感じるのでこれからも楽しみなスターさんですね!

オクタヴィウス(柚香光さん)の訴えかけるような芝居

はいからさんの伊集院少尉の時も、諭すような演技が非常に輝いていましたが、
今回のオクタヴィウスでも「どうして」という感情を押し出すような演技が素敵でした。

昔スカステであった瀬戸さんにオムライスを作ってもらう番組で、
「お肉!!お肉!!」って無邪気にお肉食べたがってた姿から想像もつきませんね。
あの番組での柚香さんが本当に可愛くて無邪気で、でも舞台上でのダンスのギャップが素晴らしくて
なんてすごい人なんだ・・・と意識し始めた気がします。

今となってはトップスターですもんね。すごいよなあ。
その重圧というか大きな責任感を背負う感じが、
今回ローマを背負うことになるオクタヴィウスとリンクする気がして、お芝居がとても光って見えました。
アウグストゥス尊厳あるもの・・・。今後200年花組に平和が続きますように。(??)

プライドの高さがにじみ出る野心家アントニウス(瀬戸かずやさん)

個人的に瀬戸かずやさんがすごく好きだったのでこれが瀬戸さんの集大成か・・・と心して観ました。
蘭寿さん、愛音さん、望海さんや、瀬戸さんや、鳳さんという
並びというか雰囲気というかザ!花男!!感が好きだったので・・・。
これでもう全員居なくなってしまう!!って感じで寂しいです。寂しい〜〜。

瀬戸さんのスタイリッシュで確立された雰囲気と、
カリスマ性や野心に溢れるアントニウスがいい具合にマッチしてすごくハマってましたね。
マスカレードホテルで主演をされてたときに、
これが瀬戸かずやさんの男役だっていうのをひしひしと感じたんですが、
今回のお芝居ではまたそこに加えたワイルドさが素敵で・・・。
瀬戸さんのお芝居での憮然とした態度が最高なんですよね〜〜!!

終盤のクレオパトラにぞっこんになるところや、倒したブルートゥス派に怯えるところも
アントニウスという人の人間性が肉厚になる感じで演じられていました。
瀬戸さんが頼れるリーダーとして存在してたらそりゃ支持するよな・・・(そういう話じゃない)と思いつつ。

誰より頼れるアグリッパ(水美舞斗さん)

もう初手から「この人めっちゃ頼れそう」感がすごいわけですよ。
元から水美さんの筋肉には私たち絶大な信頼を置いてるじゃないですか(??)それを裏切らないんですよね。

蘭寿さんの熱い男役遺伝子をついでる人というイメージが強いのですが、
水美さんは水美さんで自分の男役も確立されてきていて、その感じがもう最近顕著で本当に格好いい。
今の花組に欠かせないスターさんだなとすごく思います!!

お芝居ではそこまで出番が多くなかったのですが、もっと掘り下げて欲しかったな・・・!
最初の登場が格好良すぎてそれだけでも観て良かった〜と思います。

アウグストゥス、物語全体の感想

ドラマヒストリーというだけあって、話がかなり壮大な感じがあったかな・・・と思います。
歴史の教科書を読まずに資料集を読んでるみたいな感覚でした。
気がついたらポンペイアがこの世を去っているというのも、感情移入するほど彼女を知らない間に起きてしまうので、悲しいとか以前に普通にびっくりしてしまうというか。

「え!?!?マジで!!?!?」的な。

ただ予備知識がちゃんとあって、前後関係がわかる状態で観劇すると、
それぞれの役が表現している感情の素晴らしさが伝わる
という感じなので、
一回しか観られない人の心には残りにくいかも
いや〜ジェンヌさんたちがあれだけ複雑な心情を表現しているのだから
もっと物語でなんとかこう、活かしてほしかったな・・・!!!と贅沢にも思ってしまいました。
主要な人物があまり感情を剥き出しにしないまま、
クレオパトラ様だけショーし始めるからそこもなかなか結構衝撃的でした。際立たせたかったのかも?
いや〜でも夏美ようさんのカエサル素晴らしかったですね、
もう場の空気の締まる感じが本当にすごかった・・・。なかなか、全体的に重厚な物語でした。

熱い熱いショーCool Beast!!の感想はこちら!ギャオ!!

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