星組1789感想、国王サイドの傲慢と狂気編

ひきつづき1789感想の感想です。
魅力的な登場人物が多いので思い出すほどに感想が出てきますね。
あんまり長くても…と思うので、今回で終わりたいと思います!

今日は王家サイドの方々中心に。
アントワネット様とアルトワ伯は一記事目で触れたので他の方々の話中心になります。

ひろ香祐さん演じる優しさと愚かさが同居するルイ16世

1789の脚本の都合上、ルイ16世は王としてダメな面しか見えないんですけど、
そこが最期に狩りの支度をさせてるシーンに繋がるの最高ですよね。
外ではペイロールが大量虐殺もいとわない、覚悟しろと言いながら指揮を振ってるのに
国王は穏やかに狩りを楽しもうとしてるこの対比!がたまらなく好きです。

今回演じてらっしゃったひろ香さんのあの穏やかで優しい表情や
「私は国民を愛している」というおそらく心から発してるであろう言葉が
最終的に民衆への皮肉や王の愚かしさに反転するのが。。本当に最高です。

議会のシーンで背を向けるところだったり、
颯爽と歩いてくる姿がやたら格好良すぎる朝水さんのギヨタン博士の発明を
「すばらしく人道的な発明だ!」と喜んだり「刃を斜めにするともっと確実に首を切り落とせる」と提案するところもまた盲目というか、感覚が狂ってて良いですよね。

王妃と国民への二面性が光る白妙なつさん演じるポリニャック

ポリニャックの初登場シーンはマリーアントワネットの登場シーンなわけですが
あの時の王妃への態度を見てると観客としてポリニャックに最初に感じるのは親しみなんですよね。

アントワネットがフェルゼンと会えるように色々手配してくれるし、
オランプのアントワネットの信頼を見る目も確かです。

それがあの議会のシーンの歌で僧侶や貴族と平民の票数の差を説明してくれるわけですが
「二対一で第三身分は決して勝てない、仕組みだ」をアルトワ伯と一緒に歌うあのパート分け最高じゃないですか?あれをポリニャックが歌うの本当に良い。
私たち観客が見ていたポリニャックの面は決して平民に向けられるものではなくて、
アントワネット様に対するだけの態度なんだっていうのが突きつけられる感じ。

ここから一幕の終わりまでポリニャックの立ち位置がしっかり国王サイドなのが感じられるの本当に好き。
そしてこの白妙さんの演じわけが本当に絶妙で。利害がしっかりわかる人なんだという素地が感じられるお芝居のように私は感じるんですけど、皆さんはいかがでした?

最後まで国王の耳に言葉が届かない国務大臣ネッケル(輝咲玲央さん)

ネッケルが言っている通りにしていたとしても
もう噴出した不満や怒りから色々と取り戻せなかったような気はするのですが、
それにしても世界で一番胃がやられそうな中間管理職って立場で
見てるだけで私の白髪も増えそうでした。

議員からは話が違うと罵られ、国王サイドからはスイスの銀行家と馬鹿にされ。
それでも国を憂う国民の一人だったんだよなあという感じが切ないです。
またひろ香さんと輝咲さんの絶妙な距離感を感じさせるお二人のお芝居が素晴らしくて。

秘密警察のラマール(碧海さりおさん)とその優秀な部下のロワゼル(稀惺かずとさん)とトゥルヌマン(大希颯さん)

テーマが一貫した作品の中で休憩ポイント的に私たちを和ませてくださる秘密警察の皆さん。
初演の紫門ゆりやさん、朝美絢さん、輝月ゆうまさん、のトリオが大好きだったんですが
星組公演の三人も変わらず可愛いですね。初演メンツを見返すとこれからを期待された若手二人が部下って感じも。

真ん中のお芝居を食わないように、けれど存在感がゼロにならないようにというところが求められるから、コミカルな役所って美味しいけれど難しそう。

クセが強い登場人物たちの中で、おとぼけ三人衆的な感じでほどよく存在してくださっていたので心が重くなりすぎずに見られるんですよね。
アルトワ伯が悪役になりすぎないのも彼らが居てくれるからだと思います。
普通に考えたら私は神だと歌いながらボッコボコ煙がわく媚薬を振りかざして人の女を奪おうとする完全にヤバイ人ですからね。

恋敵の一人がラマールだとは思ってもみない感じがまたアルトワ伯のコミカルな点に思います。

神経質そうな感じと豪快な感じのバランスがたまらない輝月ゆうまさんのペイロール

やっぱね〜〜好きなんですよ〜〜輝月さんのペイロールが…!
絶対あの黒い革手袋潔癖症気味だからつけてるタイプの人じゃないですか。
平民のこと心から見下してるから触れるのも汚らわしいみたいな。でも拷問嫌いじゃないみたいな。
あの鞭の普段からお手入れしてますよ感もすごく好き。趣味悪くて最高です。

全編通して人が嫌な思いしてるときにしか笑顔が見られない感じよ〜。

大股で威風堂々歩く姿とか目上の人に対する大袈裟なお辞儀とか。
内心で国王のことはどうとも思ってないけどただ平民をいたぶりたい感じがしてもう〜。悪い。悪そう。思ってるのが私だけだったらすみません。

アルトワ伯とは利害が一致してるときだけ協力していそうな感じがしますよね。
集会を解散させる時にアルトワに言われる「せっかく良いところだったのに」の煽りとかめちゃめちゃ根に持ってそうですし監獄に帰ってストレス発散のために拷問してそう。

ペイロールのナンバーにノイズっぽいのが入ってるのたまりませんよね。歪みを感じる。
その上であの振り付け本当にたまらない。人の嘆く声や叫び声を音楽として味わうような悪辣さ。好き〜!!!何でそんなのが好きなのかわかりませんけど〜!!!( ̄▽ ̄)

1789の最後のナンバーが好き

そんなペイロールも最後のナンバーでは歴史の波間に浮かんで消えていく一つ一つの命の叫び声の一人、なわけじゃないですか。あそこに彼が居て何を思ってるかわからない表情をしているのが本当に最高でした。

他の登場人物たちもそれぞれいろんな顔をしているあのナンバーが本当に好き。
今の私たちだってそれぞれの人生が歴史をちょっとずつ作っているわけで、と思えるし元気が出ます。

と、いうことで。一通り感想が書けてすっきり。思い返す作業もとても楽しかったです。
1789の公演が最後までストップすることなく、無事に千秋楽までたどり着けますように。

読んでいただいてありがとうございました!!

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